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伝統の味ことしも完成!丸森町の「へそ大根」

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鈴木 響子

2月3日(金)
NHKラジオ第1
「マイあさ!」を
お聴きくださった皆さま

朝5時過ぎと
早朝にもかかわらず
誠にありがとうございました!

出産後、初めて
ちょうど9か月ぶりとなる
「マイあさ便り」への
生電話リポート

今回は
冬の寒さを
利用して作る保存食
「凍み大根」の話題を
全国の皆さまに
お届けいたしました

しみ大根は皆さん
お馴染みの
保存食だと思います

宮城でも県内各地で
作られていますが
その中でも
名前がユニークな
「へそ大根」
をご紹介しました

このへそ大根は
宮城県の
最も南に位置する
丸森町(まるもりM)
で作られています


大根を
干したあとの形が
人の「おへそ」
見えることから
その名前がついた
とされています

こちらがそのへそ大根
どうですか?
おへそに見えるでしょうか?

皮をむいて
分厚く切った大根を
ゆでてから
その中央に棒を刺して
冬の冷たい風にさらします

日中と夜間の寒暖差で
大根が
凍ったり溶けたりを
繰り返すことで

水分が抜け
形がだんだん小さく
しわしわに
そしてカラカラに
なっていきます

棒を抜いて
穴が空いたその姿が
まるでおへそのようだ!
ということで
へそ大根という名前が
ついたそうです


そのおいしさは
一度食べたら
忘れられないほど!

寒暖差によって
大根の甘みとうまみが
ギュッと凝縮されて
とっても
味わい深くなっていくんです

白かった大根が
干すにつれて
次第に
「飴色」に変わるのも特徴です


大根が
どんな風に変身していくのか!?

昔から
へそ大根づくりが
盛んに行われている
丸森町の山間の地区
筆甫地区(ひっぽ)
足を運んできました


へそ大根の作り方を
両親から受け継いで
およそ20年

農家の庄司一郎さん
(しょうじ・いちろう)(70)と

妻の美由紀さん
(みゆき)(67)ご夫婦が

その様子を
見せてくださいました

先月(1月)中旬に
庄司さんを
初めて訪ねましたが

車で向かうと
遠目でもご自宅が
すぐ分かりました
干している大根の風景が
目に飛び込んできたからです

家の軒下いっぱいに
干されていて

敷地におじゃますると
干した大根の香りが
豊かに広がっていました







例えるのが難しいのですが

へそ大根の
ブラインド

のようでした!




庄司さんは
冬の冷え込みが深まってきた
去年(2022年)
12月半ばから
へそ大根作りを始めました

訪ねた日には

直径1メートルはある大鍋を
薪でくべていました

この大鍋で
大根をゆでるんです!







この大根
もちろん庄司さんが
栽培したものです

洗って土を落とし







皮をむいて

 











2.5センチの厚さに
カットします








一度にゆでる量は
なんと
50本分です!

家庭料理で
下ゆでするのと同じ具合で
水から
20〜30分ゆでます




一郎さんは
このゆで加減が大切
とおっしゃって








ゆで過ぎてしまうと

棒に刺した時に

重みで大根が裂けたり
落ちたりしてしまうそう

 





棒が大根の真ん中に

止まる固さにゆでることで

きれいなへそ大根に仕上がる
というわけなんですね!







下茹でが終わると

庄司さんご夫婦は
手際良く
大根を棒に次々に刺しては

木の柵にかけていきました






およそ1か月間干すのですが
干し方が2段階あります

まず
最初の2週間は
棒に刺したまま
外に干して
冷たい空気にさらします


2週間干すと
その大きさは
およそ半分になり

色もだいぶ飴色に
近づいてきます

これくらいになったら
棒から抜きます!




縁側に広げ
カラカラになるまで

さらに2週間

自然乾燥させて完成です!



ちなみに
棒に刺したまま
1か月間
外に干し続けると

縮みが進んで棒から
外せなくなってしまうそうで

こうして
2段階に分けて
水分を抜いていくんだそうです

2週間
外に干したへそ大根を
庄司さんに
「食べてごらん!」
とすすめられ

貴重な1個を
有り難く口にしてみました

 

その大根の甘いこと!
びっくりでした!

目をつむって食べたら
大根と分かるかな・・
それほど甘かったです!

触るとまだ少し
縁の部分が
柔らかかったのですが

歯で噛みちぎるのは難しく
大根の繊維が
しっかり感じられました

それだけ
凍って溶けてを繰り返して
水分が抜けていることが
わかりました

庄司一郎さんは

「大根の収穫は1万本以上
 それを全て手で抜き
 下ゆでして干すという
 全ての工程を
 手作業で行うのは

 とても手間がかかります」

「けれど
 干すにつれ

 大根がだんだんと飴色になって
 重さも形も変わっていくのが
 楽しみなんです
 
 毎年待っていてくれる
 へそ大根ファンの方がいてくれるのも
 大きな励みです」

と優しい笑顔で
お話ししてくださったのが
忘れられません

奥さんの美由紀さんが

へそ大根を
しみ豆腐と一緒に
煮てくださっていて

ご馳走になりました






大根の甘みが深くて
とってもおいしいこと!
ニンマリしてしまいました

生の大根から作る
おでんの大根と違う
程よい歯応えがありました


そして驚いたのが
戻したへそ大根が
柔らかいこと!
お箸でちぎれるほどでした

「凍み大根って
 こんなに柔らかく
 戻るものなんですか?」

とお聞きましたら

大根を干す前に
“下ゆでしているから”
なんだそうです!

下ゆでは
干す際に棒に刺しやすくするため
だけでなく

戻して食べる時に
こうして
大根の筋が残らず

やわらかく味わうために
欠かせない大切なひと手間
だったんです

確かに
子どもの頃から
食べてきた凍み大根は
しっかり水で戻しても
歯応えが
強く残っていたなぁと
思い出されました

一郎さんが
「これが先人の知恵なんだよね」
とおっしゃったのも
強く残っています

美由紀さんおすすめの料理は
やっぱり
「お煮しめ」

おいしく作るコツは
へそ大根をぬるま湯で
耳たぶくらいのやわらかさに戻したら

その戻し汁を捨てずに
一緒に入れて煮ること

じゃがいも、にんじん、ごぼう
昆布、こんにゃくを入れるのが
好きなんだよと一郎さん

美由紀さんの作る
具沢山のへそ大根のお煮しめ
最高でしょうね!


取材でおじゃました帰りに
昨シーズンのへそ大根でしたが
お土産にいただきました








作ったのは
もちろんお煮しめ

ひと口頬張れば
心がふわんと
なんだか安心感が湧くような
やわらかさと
味わい深さ感じました


それともうひと品
スープのポトフにも
入れてみました!

ソーセージとともに
塩のみの洋風の味付けにも
とても合いましたよ♪

もうとっても柔らかくて
お箸でちぎれました!


へそ大根は
色んな料理にして
味わえそうだなと思いました



さあ、このへそ大根
1月に地元の直売所に
初物がお目見えし

2月に入り
いよいよ宮城県内の
生協各店に
出回るとのことです

インターネットでも
購入することができます


うまみと甘みが凝縮された
昔ながらの伝統の保存食
へそ大根に出会えましたら
その筆甫の味
ぜひ味わっていただきたいです

取材をさせていただいた

庄司一郎さん、美由紀さん
心からありがとうございました!

お二人の優しさが詰まった
へそ大根最高です!


フリーアナウンサー
荒響子