11月30日(木)の早朝
NHKラジオ「マイあさ!」を
お聴きくださった皆さん
ご感想をお寄せくださった皆さん
誠にありがとうございました!
体があたたまる鍋や汁物が
恋しいこの季節にお伝えした
今回のマイあさだよりは
この時期おすすめの
郷土料理「はっと」を
ご紹介しました!
はっとは
小麦粉を練って作る
宮城県登米地方(とめ)の郷土料理です
小麦粉に水を加えて
耳たぶほどの固さになるまで
よく練ってから
生地を寝かせて
熟成させます
その生地を手で薄く伸ばして
しょうゆ仕立ての汁で
煮込んでいただきます
汁には
きのこや野菜、豚肉など
具材もたっぷり入ります!
すいとんやほうとう、ひっつみなど
皆さんのお住まいの地域にも
似たような郷土料理が
ありますよね!
それらをイメージしていただくと
分かりやすいと思いますが
はっとの特徴は
「つるつる、もっちもち」
の食感です!
私は初めてはっとを食べ時
その滑らかさともちもちの食感に
とても感動しました!
5歳の息子は
「ほっぺたが落ちる〜」
と言って完食しましたし
1歳になった娘も
おいしそうに味わっていました
さて
“はっと”という名前
そもそもどういう意味?
と思われた方も
いらっしゃるでしょうか!
はっとの歴史は
藩政時代にまでさかのぼります
県内でも有数の
米どころである登米ですが
その当時のお百姓さんは
満足にお米を食べることが
できなかったそうです
そこで
小麦を使った「はっと」を
食べたのが始まり
それが当時の大名の口に入るなり
「こんなおいしいものを
農民に食べさせるのはご法度だ!」
と禁止してしまったそうです
このご法度が
はっとの名前の由来のひとつに
なっているそうです
実際に作っているところを
見てみたいと思い
11月中旬
登米市に足を運んできました
おじゃましたのは
道の駅「林林館」
(りんりんかん)です
その中にある食堂で
はっとを作って15年になる
佐藤輝久さん(50)
(さとう・てるひさ)
に作り方を教わりました
佐藤さんのこだわりは
地元、登米で
栽培された小麦粉を使い
機械ではなく
手練りで
生地を作っていることです
小麦粉を練って
冷蔵庫で
ひと晩寝かせて
熟成させます
これが
おいしい食感を生み出すために
欠かせない工程だそうです
そのあと
生地を手で薄く伸ばして
熱湯に入れます
これを登米では
“はっとをつむ”
と言うんです
佐藤さんがはっとをつむと
どれも同じ厚さに
よく伸びるんです!
佐藤さんの手元に
思わず見入ってしまいました!
はっとが
熱湯の中で浮いてきたら
1分ほどゆでて
冷水に取ります
こうすることで
生地が締まり
余計なぬめりが
取り除かれるそうです
ここも大切な工程だそうです
そして
お出汁に入れて煮込んでいくのですが
この汁にも欠かせない物が・・
はっとに入る
登米の郷土食材「油麩」です
棒状のお麩を
油で揚げたもので
この油麩が入ることで
コクが出ます!
沸騰してから2〜3分煮込んで
しっかり味を染み込ませたら
完成です!
佐藤さんのはっと
もうなめらかで、もっちもちでした!
3〜4センチ四方のはっとが
鍋に20枚くらい入っていて
食べ応え十分!
お出汁からは
舞茸などのきのこの
風味も感じられて
大満足でした!
佐藤さんは
「昔ながらのこのはっとの味を
これからも守って作り続けていきます」
と話していました
もう一軒
訪ねた所があります
登米市内の
カフェtetote(てとて)さん
木のぬくもりが
存分に感じられる
広々とした店内
子どもたちと一緒に
くつろぎながら
過ごせる空間です
出迎えてくださったのは
店主の菊地雅人さん(45)
(きくち・まさと)
12月3日(日)に
登米市で開かれた
「日本一(にっぽんいち)はっとフェスティバル」
にちょっと変わったはっとを
出店されるとお聞きし
おじゃましました
はっとフェスティバルとは
王道の
しょうゆ味のはっとだけでなく
カレー味のはっと、
デザート感覚で味わえる
小豆やずんだなどの甘いはっとなど
12種類が味わえる催しで
今回4年ぶり
17回目の開催でした
長年カフェで
洋食を作って
ご提供されている菊地さんが
今回考案したはっとは
トマトベースのはっと
その名も「ピザはっと」です
菊地さんは
まずこの名前で
クスッと
ひと笑いしてもらえたらと
これまでになかった
新しいはっとを
提供したいという思いで
メニューを考案、命名されました
名前の通り
スープにチーズを使ったはっとです
鶏ガラで出汁を取った
トマトベースのスープに
白菜、大根、にんじんなど
登米産の野菜ときのこが入り
チーズがたっぷり入っています!
そして
洋風のはっとにも
油麩は欠かせません!
はっと、チーズとトマトと
合うんですね〜!
チーズが入っているので
コクが深い
おしゃれなはっとでした!
菊地さん
実は登米のご出身ではなく
近隣の三里町(みさとまち)で
生まれ育ちました
登米のはっと文化は
ご存知ではありましたが
普段から
家庭で作って食べる習慣が
なかったと言います
ある時、菊地さんは
地元の人たちを集って
「はっとの会」を開きました
皆さんから
「はっとは薄ければ薄いだけいい」とか
「2日目のはっとが好き」
「稲刈りで忙しい時はよくはっとが出てきた」など
はっとへの思い出深いエピソードを
聞かせてもらったそうです
そして
はっとについて熱く語る皆さんから
溢れ出た“はっと愛”に気づき
その大きさに驚いたと言います
菊地さんは
「登米の人たちにとって
とても大切なソウルフードであるはっと
定番の醤油ベースは
もちろんおいしいですが
私のちょっと変わったはっとを食べて
クスッと笑って楽しい気分になってほしい」
と話していました
色々なはっとが味わえた
日本一はっとフェスティバル
私は残念ながら
足を運ぶことはできませんでしたが
登米の皆さんが
「はっと愛」を胸に
出迎えてくださったことと想像しています
この記事を書きながら
つるつる、もちもちの
はっとが食べたくなってきました!
また登米におじゃましますね!
皆さんも
登米の郷土料理「はっと」を
味わいに
ぜひ、遊びにお出かけください♪
はっとの取材に
ご協力をいただいた皆様
誠にありがとうございました!
フリーアナウンサー
荒 響子