7月5日(金)の
NHKラジオ第1
「マイあさ!』
をお聴きくださった
全国の皆様
ありがとうございました!
また、放送直後に
感想のメッセージやお電話を
くださった方々
ありがとうございました!
とってもうれしかったです
今回のお話は
宮城県を代表する
海産物のひとつ
「ほや」の話題を
お届けしました
宮城の沿岸
北部と中部の
広い地域で
養殖されていています
今月(7月)に入り
ほやの生産が最盛期を迎え
8月のお盆のころ
にかけて
おいしいほやが
味わえます
ほやは
15センチほどの大きさの
卵のような形で
表面は
濃い紅色の
固い殻に覆われ
イボイボの突起が
いくつも付いているのが
特徴です
そのゴツゴツとした形から
“海のパイナップル”
とも呼ばれています
殻をむくと
中には
鮮やかなオレンジ色の
柔らかな身
が詰まっています
見た目だけでなく
味もとても特徴的で
甘味、塩味、酸味
苦味、うま味を
あわせ持っています!
ほやの養殖は
いまから
100年以上前に
ここ宮城県の
三陸の海で始まりました
現在は
北海道、青森、岩手でも
養殖が行われていて
宮城県が
最も多い生産量を誇ります
宮城の海が
なぜほやの養殖に
適しているのかというと
三陸沖では
南から流れてくる暖かい黒潮と
北海道・釧路沖から流れてくる
冷たい親潮が
ぶつかり合っていて
ほやの餌となる
植物プランクトンが
爆発的に増えるから
なんです
また
三陸沿岸は
リアス海岸と呼ばれ
山地が海の間近まで迫るため
森のミネラルを
たっぷり含んだ山の水が
絶えず海に流れ込み
植物プランクトンが
さらに増えるんだそうです
こうした
自然の恵みを受けて
三陸の海では
味の良いほやがよく育つ
と長年にわたり
養殖が盛んに行われてきました
ちょうど今
ほやの水揚げが
頻繁に行われている
とのことで
6月末
船に乗せてもらい
その様子を見てきました
宮城県の北東部
太平洋に向かって
突き出した
牡鹿半島(おしか)の
寄磯浜(よりいそはま)
に向かいました
寄磯浜は
宮城県沖の中でも
特にほやの養殖が
盛んな地域です
浜で迎えてくださったのが
宮城県漁業協同組合
寄磯前網支所
ほや養殖部会
会長の
斎藤寿さん(60)(写真向かって右)
(さいとう・ひさし)
副会長の
遠藤謙市さん(55)(写真向かって左)
(えんどう・けんいち)
のお2人です
ライフジャケットを身につけ
斎藤さんの船に
乗り込みました
出発して数分
たくさんの浮き球が
見えてきました
ほやの養殖いかだです
海の中に沈められた
15mほどのロープを
巻き上げると
「4年もの」
と呼ばれる
稚貝から丸4年育てた
出荷直前の
濃い紅色の
たくさんのほやが
姿を現しました!
ほやが集まって
直径30センチほどの
塊となり
ロープに次々と
連なっていたんです!
1本のロープに
500〜700個ものほやが
びっしりと付き
成長していました!
(写真は遠藤謙市さん)
目の前で水揚げされる
ほやを見たのは初めてだったので
思わず「わぁ〜!」と
声をあげました
ほやは出荷まで
海の中で
3〜4年かけて
じっくりと育てます
今回
水揚げされたほやは
大きさが
10〜15センチ
ことしは
ほやの
生育と身入りが遅く
例年に比べると
少し小ぶりのものが多い
そうです
その背景には
地球温暖化による
海水温の上昇が
考えられるそうです
特に去年の夏は
とても暑い日が
続きましたよね
ほやを養殖して
30年以上の遠藤さんが
「例年だと、2月ごろになると
海水が濁って黒っぽく
見えるようになる
それは
栄養のある親潮が来た印なのだが
ことしは4月に入ってから
やっと潮が変わった」
と教えてくれました
身入りが
なかなか進まなかったほやは
大型連休明けから生育が進み
大きくなってきたそうです
養殖歴40年の斎藤さんが
水揚げしたてのほやを
わずか20〜30秒ほどでむいて
ぷりぷりの身を取り出し
「肉厚で味のいいほやが育っている!
おいしいよ〜」
と味見を促してくれました
つやつやの
オレンジ色をした身は
おっしゃる通り肉厚!
5ミリほど
はありました!
贅沢に
とれたてのほやを
船の上でいただきました
はじめに
磯の味が口の中に広がって
食感はシャキシャキ!
噛むごとに
ほんのり
優しい苦味と酸味が現れ
かと思ったら
徐々に
芳醇な甘味と旨味が
深く広がり残りました
一度にこんなにも
色んな味が楽しめて
“味わう”とは
こういうことを言うのか
と感動しました!
斎藤さんと遠藤さんは
上質な味わいのほやを
育てるため
手間を惜しみません
・生育年数によって
場所を変えたり
(種付けした1年目のほやは
波が穏やかな
丘に近い海で過ごしますが
2年目に入ると
潮の流れが良い沖合に
養殖いかだを移します
プランクトンの回りが早いため
生育が進むからなのだそうです)
・ほやの成長にあわせて
海に沈めている
15メートルほどある
ロープとロープの間隔を
広げたり
(徐々に大きくなっていくほやが
窮屈なく伸びのび
生育させるため)
・時化で
海が荒れる予報の時には
浮き球を調節することで
ほやにかかる
揺れによるストレスを
減らしたりしています
さらには
・ほやの周辺に
フジツボなどの貝類が
付着しやすいそうで
栄養を奪われぬよう
いかだの掃除も
年に数回行います
海の上で
手間をかけることを
惜しまない
おいしいほやが
育つわけは
ここにあるのだなと
深く頷けました
終始明るく元気な
斎藤さん(私から向かって右)
と遠藤さん(左)
「色つやの良い
肉厚なほやが育っています
多くの人に
おいしい旬のほやを
たくさん味わってほしい」
と話していました
おすすめの食べ方は
やっぱり
お刺身!
他にも
殻付きのまま蒸す
「蒸しほや」は
甘味が増して
風味もやわらかくなるので
食べやすくなって
これもまた
おいしいそうです
鮮度が命のほや
機会がありましたら
魅力的な味わいの
ほやを食べに
ぜひ宮城にいらしてください!
鈴木 響子